2030年を目途に、スペシャリティファーマとしての地歩の確立を目指す

経営理念の実現に向けて

当社は「どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会を実現し発展させる」という経営理念のもと、メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする医薬品の創出に取り組んでおります。

長期ビジョン: スペシャリティファーマへの道のり

当社は2030年を目途に「スペシャリティファーマとしての地歩を確立すること」を長期目標に掲げています。ここでのスペシャリティファーマとは、特定の疾患領域や医薬品形態に特化しつつ、新薬の創出から研究開発、製造販売までを一貫して行う製薬会社を指します。この長期目標を目指すことを通じて、当社は持続的な成長と社会貢献を目指します。この目標を実現するため、当社では三段階での成長戦略を描いております。

創業からスペシャリティファーマまでの成長イメージ

第一段階では、当社事業の基盤となるmRNA標的創薬プラットフォーム「aibVIS」を活用して複数の製薬会社との共同創薬研究を開始することによりプラットフォーム型ビジネスを立ち上げ、収益基盤と実績を構築しました。この段階では、塩野義製薬様とのマイルストーン達成など、当社の技術力の向上と実用性を証明しつつ、中長期的な安定収益の確保に繋がりました。
 

2024年2月の株式上場を機に、当社は第二段階へと移行しました。現在は、プラットフォーム事業で培った技術力を活かし、自社パイプラインの本格的な構築にも併せ取り組むハイブリッド型ビジネスを推進しています。そのなかで、2025年度に急性腎不全の予防薬を1本目の自社パイプラインとして創出し、2026年度中には2本目のパイプライン創出を目指しています。また、1本目の自社パイプラインについては、非臨床試験の開始に向けた準備を進めます。さらに、医薬品についての課題解決を目的とし、自社独自のドラッグデリバリーシステム(DDS)である「Perfusio」を想起し、その事業化に向けた取り組みにも注力しております。2027年度を目途に、臨床試験期間とコストを抜本的に短縮させる医療機器として実用化させることを通じて、自社パイプラインの比較的早い段階での収益化の実現を目指します。
 

スペシャリティファーマへの道のりの最終段階として、ハイブリッド型ビジネスを推進しつつ、スペシャリティファーマとして必要な組織、機能、人材等を確保し、持続的な成長が期待できるとしての態勢を整えます。
スペシャリティファーマは、アメリカにおいても非常によく見られる事業形態で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場しているヘルスケア関連企業の中で、上場後10年以上にわたり成長を維持している中堅企業の大半が、この事業形態を採っています。
このことから、当社が社会に医薬品を持続的に提供していくため、スペシャルティファーマとなることを目指しております。
 

これらスペシャリティファーマを目指すプロセスを通じて、当社が中長期的に安定的かつ持続的な成長を実現することにより株式価値を高めてゆくとともに、当社の技術で創出された医薬品を社会に責任をもって届ける態勢を確保することにより、当社が掲げる経営理念の実現につながるものと考えております。

外部環境の変化と当社の戦略的対応

製薬業界の潮流変化

近年、特に米国の大手製薬会社を中心に、一から新薬を作るという自社での創薬を手控え、他社が創出した医薬品候補(アセット)の導入を重視する傾向が強まっています。この潮流は日欧の製薬会社にも波及しており、製薬会社と共同して新薬の創出を目的とする共同創薬研究契約そのものが世界的に減少傾向にあります。
このような外部環境において、当社のプラットフォーム技術の優位性にかかわらず、製薬会社をパートナーとする共同創薬研究を行うプラットフォーム型ビジネスにとっては逆風の状況にあると認識しています。

当社の戦略的対応

このような環境変化に対し、当社は以下の3つの戦略の柱を意識して対応しています:

 

1. プラットフォーム事業の深化と拡大

  • 既存の共同創薬研究を着実に進捗させ、mRNA標的低分子創薬の成功例を創出する
  • 創薬意欲が旺盛な国内外バイオテク企業との、将来価値の高いプロジェクト契約を締結する
  • 直近の収益につながるプロジェクトの製薬会社との契約を締結する

2. 自社パイプラインの創出と拡充

  • 製薬会社が求める将来のアセットを自社で創出する
  • パイプライン1(p53標的ASO):独自ドラッグデリバリーシステムPerfusioを用いて臨床試験コスト・期間を短縮させ、早期の収益化を実現する
  • パイプライン2を2026年度内に創出する(物質特許の出願)

3. 事業の多角化による安定化

  • 当社技術の応用性を活かした農薬事業へ参入する
  • ドラッグデリバリーシステムPerfusio自体の事業化を展開する

2026年度の重点施策

当社では2030年度を目途にスペシャリティファーマとしての地歩を目指す道のりのなかで、2026~2027年度を「将来の持続的成長を実現するための投資を実行する期間」と位置づけ、2028年度以降に収益拡大と投資の回収を実現していくために必要な、戦略的な先行投資を実行していく方針です。プラットフォーム事業とパイプライン事業のそれぞれで持続的な株主価値向上につながる取り組みを実行するとともに、ドラッグデリバリーシステムの事業化や、研究施設の移転拡張を進めます。2026年度に取り組む重点施策は以下の5項目です。

1.新規契約2件締結をKPIとする

  • 外部環境の変化に対応しつつ、欧州への展開や農薬への応用も視野にいれた事業開発を進める

2.自社パイプライン2の創出に向けた研究を進める

  • 高い将来価値が期待できる医薬品候補物質の創出と特許出願を目指す

3.自社パイプライン1の非臨床試験(動物実験)を進める

  • Perfusioを活用し非臨床試験・臨床試験のコストを抜本的に削減することを目指す

4.「Perfusio」の事業化準備を進める

  • 医療機器メーカーとアライアンスを構築し、事業化に向けた取り組みを進める

5.新川崎研究所を移転させる

  • 研究内容の高度化に対応するとともに、研究員の執務環境改善等を目的として、研究所を拡充。そのため2026年3月に新たな場所に移転する

 

これらの取り組みにより、短中期の収益基盤を確保しつつ、将来価値の高いアセットを継続的に創出し、株主価値の向上と経営理念の実現を目指します。